2007年4月15日日曜日

臙脂色


学生たちが主役となるWEBページを二つほど立ち上げた。それのベースとなる色は、大学のロゴや大学サイトの公式色とのバランスから考えて、臙脂色(えんじいろ)を用いた。

色は、とにかく奥が深い。WEBページのデザインとなると、最終的にそれがすべて16進数のコードとなる。色の種類もしたがってコードの組み合わせの数だけあって、とても一々見分けられるようなものではない。しかも大事なのは、ベース色の選び方ではなくて、それの使い方だ。一つの色は、それを盛り立てる周りの色の存在によって生きてくる。基本的な知識を持ち合わせないまま、気が遠くなるような可能性に圧倒されて、ついついそれを敬遠してしまうのは、わたし一人だけだろうか。

一方では、そのような奥深い色と色の組み合わせは、的確で由緒ある言葉をもって捉えるということは、まさに文化と伝統の成せるワザである。日本語では、色を表現する言葉がとりわけ大事にされてきた。遠く千年以上前の平安の用語で言えば、それが襲(かさね)と呼ばれた。季節の移り変わりや自然の風物に溶け込む豊富な色と無尽の組み合わせを豊かな語彙で捉え、伝えていた。一つの言葉と特定の色との対応にはずれも予想されるが、それ以上に、人々はその要素を最小限にし、対応の体系を整えるように弛まない努力を続けてきた。

因みに、「臙脂色」という言葉はそんなに古くなく、おそらく百年単位の歴史しかない。この言葉に力強い感情をつぎ込んだのは、一人の明治時代の歌人だ。その歌では、この色は熱い血潮を表現するものとして用いられ、情熱の色と位置づけられた。この感性は、今日になっても人々に共有されていると言えよう。

臙脂色は/誰にかたらむ/血のゆらぎ
春のおもひの/さかりの命(与謝野晶子『みだれ髪』)

Designing two webpages for my students, I decided to use dark red as the base color. Can you find a specific word to indicate this color? Can you associate this color with a feeling which most people can agree with? In the Japanese understanding, however, we have a clear answer.

原色大辞典
襲色目と重色目

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