2007年4月27日金曜日

足袋・旅・度

形のうえでは、これは漢字表記の問題である。すなわち、特定の言葉を書き記す場合、どの漢字を用いるか、ということだ。たとえばテーマに掲げた用例、「足袋・旅・度」。口に出して読んで見ればすぐ分かるように、すべて「たび」と読む。実際、ここに挙げている三つの言葉は、読んでみないその関連には気づかないほど、互いにさほど関係がない。まったく違う言葉だと直感的に思う人だっているだろう。いうまでもなく、読み方が同じ以上、同じ言葉から来たものだと捉えるべきだろう。もともと同じ言葉の変容で、語彙発達の順番から考えれば、靴下を意味する言葉が、それが大いに活躍する旅行という言葉に意味が延長し、そして訪ねての回数を意味するようになったと推測できようか。もちろんこれはやや勝手な想像というレベルのもので、旅行という意味の言葉が靴下に展開されたというシナリオだってありえよう。

かなり似たような実例では、さらに「かみ」という言葉がある。おそらく「上」とはそのもともとの意味であり、広げて、体の一番上に来る「髪」を指し、人間よりは高い存在となる「神」を意味し、転じて、恭しくいただく「紙」となり、さらには一つの家族のなかで実際に力をもつ「カミさん」を言う。最後の例は、関西だけの使い方か。

ここでは、むしろ大事なのは、日本語としての一つの言葉が、だんだんその意味が拡大し、しかも漢字の表記にそれぞれの使い方が定着した、という道のりだろう。いわば漢字は、言葉の成長の年輪を記しているものだ。

週末にかけての、バンクーバーへの一泊の旅行をして、小奇麗な部屋の、VSTの宿より。

It is often an eye-opening experience for beginners while I introduce them the different meanings of "tabi" and "kami". They are good examples how Chinese characters record the change and development of Japanese vocabulary.

漢語表記の現状

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