2007年5月20日日曜日

表札

表札とは、典型的な日本の風景の一つだ。いったん街裏の路地に入ると、大小の玄関の脇に掲げられた表札は、その家の家主の名前を書き込み、道行く人を見つめる。ぴかぴかと光っているもの、風雨に晒されて年月を感じさせるもの、それぞれ違う表情を見せて、あまりにも日本的なものだ。

ふと考えてみれば、そのような表札だって、時代の流れとともに多くの変化を見せている。すこし昔からのものなら、一家の主を記すだけに留まらず、夫婦の名前を並べて掲げ、とりわけたまに夫婦別姓の場合など、やはり目を引く。いまなら、名前よりも苗字だけという様子がぐんと増えた。それもローマ字表記が多く見かけられるようになり、表札のもともとの役目が薄れてゆく。やがて個人情報保護などの意識から、表札自体が消えたり、あるいはほかのなにかの形に取り替えられることでも起こりうるだろう。

学生時代の一つの思い出がある。クラスメートの中ではめでたく結婚して、一軒家を借りて住む友人がいて、みんなから羨望の目で見られていた。その友人が新居に引越しして早々、表札を書くようにとわたしに頼んできたのだ。なぜか恐縮しきったことだけはいつでも思いに残った。

This is a very Japanese view: each house has a plate with all the residents' name right in the front of the gate.

(この記事について、はじめて読者のコメントをいただいた。表題となる言葉の間違いを指摘してくれた。感謝。さっそく直した。)

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

こんにちは。これらは表札ともいいます。
近年では夫婦別姓だけではなく、夫婦が妻の両親と同居しているなど、複数の名字を表札に掲げているご家庭もみかけますね。
名札というと、服の上につける名前を記したバッチなどを指します。

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