2007年5月7日月曜日

マニュアル敬語


昨日の話題を続ける。

あらためて「敬語の指針」を読むと、その中には特別に「マニュアル敬語」という項目を立てた。ここでは、実際に会社の新人などを対象に作成されたマニュアルを取り上げ、過剰になることは望ましくないが、一つの表現のアドバイスとしては機能しているのではないかと、あいまいにして中庸的なアプローチを取った。

しかしながら、巷では「マニュアル敬語」といえば、そう温厚に捉えていない向きがある。その呼び名は、さらに「ファミレス敬語」「コンビニ敬語」「バイト敬語」などとさまざまなバージョンを持つ。すぐに思い浮かぶのは、例の「千円から預かります」といった表現だ。そもそも領収しなければならない場面だから、「預かる」とは内実に合わず、そして手に入れたのはそっくり千円そのものだから、「から」とはいったい何をニュアンスにしようとするのか、理屈っぽく考えれば考えるほどわけが分からなくなる。

このような「マニュアル敬語」とは、あくまでも特定の仕事に従事する人々の、決まった状況のもとでの用語である。したがって、以上のような理屈云々で議論し、ひいては非難したところで、コンビニでの会話を変えることはないことだけは、確かだろう。ここでは、むしろそれを敬語として考えることが、ことの本質をぼかしてしまうのではなかろうか。そのような表現は、むしろ一種の職業用語であり、敬語のあり方についての議論に参加させないことが、有意義かもしれない。

「マニュアル敬語」ではなくて、『敬語マニュアル』と題する本が出版されている。そこでは以上のような表現を取り上げていないことを祈る。

In Japan, at a place such a convinient store, one may often hear some expressions that is rather over-polite. There is a new name for such expressions, "manual honorific expressions".

マニュアル敬語について考える
マニュアル敬語論

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